第6 弾劾の視点
1 基本的視点
(1)弱い かつ 重要
検察官立証の構造をふまえて,弾劾をする。見込みのない弾劾,意味のない弾劾は,あまりよろしくない。
ア 見込みのない弾劾
強いところを弾劾してしまうこと。
弱いところがいっぱいあるはずなので,弱いところを弾劾する。強いところを相手にしない。
イ 意味のない弾劾
それを弾劾しても意味がないだろう,というところを弾劾しない。
検察官立証の構造を把握すれば,どこをつぶせば全体の力が下がるか,がわかるはず。そこを弾劾すれば,合理的な疑いを超えた証明といえなくなる,というポイントについて,弾劾する。
したがって,弾劾対象は,
code:弾劾対象
ⅰ 検察官立証の構造の中で,弱いところ
かつ
ⅱ 検察官立証の構造の中で,重要なところ
(2)証拠と事実に基づいた指摘
弾劾は,証拠と事実に基づいて行うべき。
そのために,証拠と事実を検討したうえ,必要な範囲で,事実を確定する。
弾劾も,証拠に基づくものでなければならない。
2 大きな視点:間違いはどこにあるか
大きな視点は,どこに間違いがあるか。
供述証拠のみに頼っている場合。
直接証拠型なのに,その直接証拠には確たる裏付けがないとき。 間接事実型のはずなのに,自白・共犯者供述のみに頼っているとき。 (2)推認過程の弱さ
ある事実から別の事実への推認過程に飛躍がある場合
検察官が挙げている間接事実だけでは推認できない場合。
再間接事実から間接事実への推認が甘い場合。
(3)証拠の弱さ
証拠に問題がある場合。
証拠能力と信用性。
3 小さな視点:メルクマール
小さな視点は,どのメルクマールの点で問題があるか。
メルクマールを活用する。
大きな視点レベルの問題点まで把握できれば,その問題点につきどんなメルクマールで判断すべきかは,『刑事弁護実務』or語呂合わせ集で何とかなるはず。